急にベトナムハノイで、市街地へのガソリンバイク乗り入れ禁止となる予定が発表されました。
ハノイ市、2026年からガソリンバイク禁止へ
中心部で大気汚染対策を強化
ハノイ市は2026年7月1日から、環状1号線の内側でガソリンを使う二輪車(モペット含む)の通行を禁止すると発表しました。これは大気汚染を減らすための取り組みで、首相の環境対策指令に沿って実施されるとのこと。
環状1号線は旧市街を囲む全長約7.2kmの道路で、ホアンキエム区やバーディン区、ドンダー区など市の中心エリアが含まれます。禁止が始まれば、この区域ではガソリンバイクは走れなくなってしまいます。
規制は段階的に広がる予定。
- 2028年:環状2号線内に対象拡大、ガソリン車にも制限を適用
- 2030年:環状3号線内まで拡大
あわせて「低排出ゾーン(LEZ)」の導入も予定されており、通行できるのは電動車やクリーンエネルギー車、環境基準を満たした車だけになるそうです。基準を下回る大型トラックや古い車は、通行禁止や時間制限、通行料の対象になる可能性があるとのこと。
試験運用は2025年からホアンキエム区やバーディン区の一部でスタートし、2031年以降には本格導入の予定。市は市民や事業者が電動車に切り替えやすくなるよう、支援策も用意する方針。
ガソリンバイクが減れば、中心部の空気や街の雰囲気も今とは変わっていきそうですね。

この影響で中古車市場も崩壊
2026年7月1日からハノイ市の環状1号線内でガソリンバイクが禁止の発表を受け、なんと市内最大級の中古バイク市場では客足がぱったり止まってしまったそうです。
普段なら、9月からの新学期前で学生の買い物客も多い時期ですが、以前は1日3~4台売れていたのに、今は1台も売れないと販売者が嘆くほどにお客さんが減っているそう。
販売価格も大幅に下がっていて、人気モデル「Honda SH」は以前と比べて700万~1,000万VND安くしても売れないとのこと。予約キャンセルの話も多く、電動バイクへの乗り換えが急速に進んでいるようです 。
また、売る側も大打撃を受けているようで、たとえば「2014年製LEAD」は、1年前なら2000万VND(約11万円)で売れたものが、今や400万~500万VND(約2万2000~2万8000円)にしかならないという話もあるそう。

バイク協会、「電動化はもう少し時間をください」と要望
「準備期間2~3年が望ましい」
ベトナムバイクメーカー協会(VAMM)は、政府が進めているガソリンバイクから電動バイクへの移行について、「急すぎる」として、最低でも2~3年の準備期間が必要だと要望を出しています。
VAMMが指摘する課題は主に次のとおりです:
- 低所得層への負担:電動バイクへの買い替えが大きな経済的ハードルに
- インフラ整備の遅れ:充電設備がまだ十分でない上、老朽住宅では火災リスクも懸念
- 業界への影響:生産・販売・アフターサービスに至るまで、業界全体が大きな打撃を受ける可能性
特にメーカー側は、2027年から適用予定の排ガス基準「ユーロ4(Euro 4)」に対応するために設備投資を進めてきただけに、電動化への急速な舵取りは「その投資が無駄になるかも」と不安を抱えているそうです。
また、全国にはガソリンバイク販売代理店が約2,000社、部品サプライヤーが約200社あるとされ、これらの事業者の雇用への影響もあるとされています。
こうした事情から、VAMMは「現実的で持続可能な移行」を目指すなら、やはり時間と官民の協力が不可欠だと訴えています。

ハノイに続き、ホーチミンでもガソリンバイク禁止を検討
ハノイ市のガソリンバイク禁止の通知に続き。ホーチミン市では、2026年から市中心部に「低排出ゾーン(LEZ)」を設け、ガソリンバイクを含む内燃機関車の乗り入れを段階的に制限する計画を検討しているとのニュースが出ました。まずはディーゼル大型トラックの乗り入れ禁止や、排ガス基準を満たさない車両の制限からスタートするとのことです。
第1段階の対象地域は、中心部の複数の橋や幹線道路に囲まれたエリア。人口は約320万人、1日に行われる移動は約920万回にも上るエリアです。
2026年からは、欧州排ガス規制「ユーロ4」を下回る商用車や「ユーロ2」を下回るバイクが対象に。その後、2027〜2032年には規制をさらに広げ、2032年以降には環状1号線の内側全体が対象となる見通しです。
監視体制も強化されます。2026〜2032年でナンバープレート認識カメラを58台設置し、2032年以降に約200台へ増設。検査データとも連携して、厳格な取り締まりを可能にする計画。
さらに電動車への移行を後押しする支援策も整備されます。電動バイクの購入補助(最大500万VND/約2.8万円)、登録手数料や維持費の減免、ローン金利サポートなど。また、電動バス72路線やシェアサイクル8,000台、1300か所以上の充電ステーションの設置も予定されています。
ちなみに、ホーチミン市の人口は1,400万人以上、自動車は100万台以上、バイクは1,020万台と国内最多規模です。そして道路交通によるPM2.5排出は88%を占め、年間で3兆VND(約169億円)もの経済的損失につながっているといわれています。

電動バイク業界に追い風
政府の急な方針の変更、いかにもベトナムらしいですね。
この方針、ガソリンバイク業界にはかなりの痛手ですが、電動バイク業界にとっては追い風になっているようです。
以前私が購入した、ベトナム企業Vinfast社の新製品発表が続いており、ガソリンバイクの乗り入れ禁止が現実のものとなれば、ますます勢いをつけていくと予想されます。
ベトナムのことだから、政府が「やる」と言ったらやると思うので、これからどうなっていくか見守りたいと思います。

ハノイ市街地の賃貸物件にも変化が
2026年のハノイ市街地のガソリンバイク乗り入れ禁止の話が出たことで、ハノイ市街地の賃貸物件の賃貸条件にも変化が出てきました。
以前の記事でお伝えしたように、私が賃貸物件を探している最中、何度も「電動バイクの充電は火事のリスクがあるから、物件下の駐車場では充電をしてはいけない」と断られてきましたが、今はその要件がほとんどなくなっているようです。
無事に私も新しい部屋を見つけることができました。

まとめ
これからベトナムでバイクを買おうと思っている方、ハノイ市街地での運転がメインになるのであれば、ガソリンバイクではなく電動バイクを買うのが良いのではないかと思います。
50km/hまでのリミッターのついている電動バイク(モーター出力が4kW未満)は、免許不要でバイクに乗ることができるので、免許の書き換えが不要でバイク取得のハードルが低いです。
今年は市町村合併で、国外免許からベトナム国内の免許への切り替えもなかなか難しいので、免許無しで乗れる電動バイクを購入が第一候補になりそうですね。
電動バイクは免許不要のものでも、50km/hまでは速度が出るので、街中は他のバイクのスピードとほぼ変わらない速さで、意外に快適に乗ることができますよ!
ガソリンバイクを買うと、手放すときに売り値もつかなくなってしまうようなので気をつけましょう。
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